2004年12月27日

情報源が集約されることの危険性

「Gartner が IT 調査会社 META Group を買収」とのことだが、昨年のForresterのGigaに続くIT 調査会社の大型買収である。
Gartner Press Releases : "Gartner To Acquire META Group For $162 Million"
News Source : Financial TimesCBS MarketWatchReutersForbesInfoWorldinternet.comJ)、CNETITmedia

私はResearch Dept., Business Development Div.,、つまりは調査部という事業会社では珍しい部門に所属しており、Gartner、META、Forrester、Giga、Yankee、IDCといった米国の調査機関のレポートに頻繁に接している。
これら調査機関に求めるのはもっぱらマクロ情報。市場動向、製品ポジショニング、市場規模予測、といったものであるが、IT系の事業戦略立案にこれら調査機関のデータは欠かせない。
無論、国別に独自の文化的背景があるので米国の予測を全てそのまま流用できる、といったことは既に昔のことであるが(数年前までは米国で起きた同様のことが2年後に日本で起きる、という考え?妄想?が業界内では極普通にまかり通っていたというから恐ろしい・・・)、エンタープライズ系の分野では未だ参考になることが非常に多いのも事実である。

IT業界に限ったことではないが、技術/ツールでビジネス上の差別化を行うことは非常に難しくなってきている。技術/ツールが競合優位性をもたらすなどということは稀であり、勝敗は技術ではなく、ツールのユーザビリティー、サービスなどを含んだ幅広いビジネスシステム全体によって決定付けられる事が多い。
例えば、Googleは数年前に技術で優位性を築き成功したが、現在YST、MSNベータを比較して検索結果に大きな差は見られない。それゆえにGoogleを含む各社は広告など他のサービス分野に注力しているわけである。
また数年前であればRDBMSの分野において、やれOracleだ、Sybaseだ、MS SQLだ、DB/2だと商用DBを比較する事に躍起になっていたが、現在ミドルウェアの世界でそのような話は殆ど耳にしなくなった。これはOSなどの基盤技術でも同様であり、またERP、CRM、BI、といったツールの分野でも同様である。コモディティー化した、と言ってしまえば解りやすいかもしれない。

技術的な観点に立てば、客観的な指標で技術/ツールを比較することは容易であるが、サービスなどの主観が介在せざるを得ない指標では比較結果の信憑性は非常に低くなる。
技術的な内容は数社の評価レポートを参照すれば、大抵のトレンドを理解する事が出来るが、主観的な内容を数社のレポートのみで判断する事は多大なリスクを伴う。

この点からすると、今回のGartnerとMETA Group、昨年のForresterとGigaというのは情報源の集約=情報の偏在、という結果となり意思決定を行う上でのリスク要因となり非常に危険である。
もともと大して参考にならない(予測が当たらない)からどーでもいいじゃないか!という意見もあるだろうが、偏った(誤った)情報を参考にした多くのプレーヤーが同じ意思決定を行い、最終的には全滅する、こんな悲惨なことが近い将来起きるのでは・・・、と一傍観者として少し危機感を感じる。

Posted by Ozaking at 23:30 | コメント (2) | トラックバック