ローカル検索の可能性
japan.internet.comにアウンコンサルティングの岡田さんがローカル検索に関する記事「加熱するローカル検索」を書いているので、私も一言。
岡田さんとは今月初旬にSan Joseで開催されたSearch Engine Strategies Conference & Expo 2004(SES)で知り合い、幸運にも多くの時間を共にし様々な意見交換を行うことが出来た。
話題は現在のSEM業界における問題点・課題といったミクロな点から、今後のSearch Engine業界の方向性といったマクロな点にまで及び、私としては非常に参考になった。
8/3にYahoo! とAsk JeevesのLocal Search(ローカル検索)サービス開始の発表があり、8/5のSESではローカル検索に2コマのセッションが充てられていたため(ちなみにPersonalizing SearchとBlog Searchが1コマ、Shopping Searchが2コマ)、会場でのローカル検索の話題性は非常に高く、当然ながらローカル検索についても彼とは色々と話した。
(下の写真はSES Yahoo!ブースで配布されたYahoo! Search Shortcuts説明マウスパッド)
正直、私は当時Local Searchには全く興味が無かった。よって最終日2コマあったローカル検索のセッションにも参加していない。
今だから明かすと、岡田さんと話していたときも「何言ってんだかなぁ・・・」と全く他人事として捉えていた(ゴメンなさい)。
なお、興味が向かなかった主な理由としては以下の3点が挙げられる。
- 国内とUSでのYellow Pageの役割、広告市場の規模に大きな隔たりがあること
- IPの地域情報提供サービスが国内では十分に整備されていないこと(一応、国内ではCARが有名)
- 国内では地図情報提供会社(CyberMap Japan、INCREMENT P、等)はカーナビ向けに作成されたデータを用いて各々独自にネット上でサービス展開しており、一方、電話帳情報提供会社であるNTT情報開発(株)はNTTグループ内でNTT番号情報(株)によってインターネットタウンページを展開しており、双方の利害を一致させたサービス統合が困難に思えること
しかし、ここに来て私の考えも少し変わってきた。
実はローカル検索、日本でもイケるんじゃないの?と。
もちろん、上記に挙げた3つの問題点が全てクリアされるわけではない。
そもそも、ローカル検索に興味が沸かなかった理由は、3つの構造上の問題点を考える以前に、「そんなニーズ、国内に果たしてあるのか?」という点が全く理解出来なかったからだ。
それが、最近ひょっとするとひょっとするかも・・・(ニーズあるんじゃないの?)と思うようになってきたのだ。
先に用いたニーズは、1)サイト運営者(or 広告主)、2)検索サイト運営者、3)ユーザー、の3つの視点から見たニーズを考慮する必要があるが、1のニーズに関してはROIが見合うかどうか?と同義であるので3のユーザーニーズに依存しており、2に関しても開発・運営費と広告収益との兼ね合いであるので同様に3のユーザーニーズに依存している。
つまり、ローカル検索(ビジネス)が成り立つかどうかについては、「ユーザーのローカル検索に対するニーズがどの程度か?」、「ユーザーがローカル検索を利用する必然性はあるのか?」という問いに対する回答を考えて見ることで大凡把握できる。
私の場合、大抵がビジネスユースで情報検索・収集・探索を行っていている事もあり、目にするものは全国版Newsサイト、新聞、業界誌(雑誌など)といった類いのものばかりで、全くもって実感が沸かないのであるが、周りを広く見渡してみると、Hot Pepper、ぱど、といった地域密着型フリーペーパー(クーポン誌)が旺盛を極めている。
実はネットであるが故にローカル限定情報を探すのが困難なだけで、ローカル限定情報がきちんと整理されていれば・・・、と考えることも出来なくない。
無論タラレバであるので、試してみないと何とも評価し難い面もあるが、可能性は結構あるように思う。
というのも、私自身フリーペーパーこそ読んでいないものの、ここ数年イエローページ・ハローページを手に取った記憶はない。2度の引っ越しを行っているので、引っ越し業者選択に始まり、病院、グルメ情報、等の地域限定情報を随分探したはずなのだが、電話帳を用いる必要性が全く無かった。
電通の日本の広告費によれば、電話帳広告市場は1999年:1,777億円、2003年:1,524億円、と253億円減少しているものの(ネット広告市場はは1999年:241億、2003年:1,183億円)、私のように全く利用していない人口比率が急増していることを加味すれば、まだまだ減少(ネット広告から見れば増加)する余地は残されていると言える。
ローカル検索には3つの問題点があるため、利便性の高いサービスを実現するのは容易でないものの、実はユーザーのニーズそのものは結構高いのではないだろうか?
Posted by Ozaking at
23:22
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