2004年07月02日

Web大衆化10周年 - 3

2)Communication

パソコン通信サービス「ニフティサーブ」が開始されたのは1987年。
個人間のデジタルコミュニケーションはWebが大衆化する以前から既に行われていた。
その後90年代前半にWWWの基盤が整うと時を同じくしてEudora(1998年にデビュー)といったソフトの存在もありEメールが普及していくことになる。

私個人がEメールの存在を知ったのは確か1993年。
高校の同窓会に来ていた日本IBMに勤める先輩から話を伺ったのが最初だったように思う。
当時、(恐らく)全社員にメールアドレスが与えられていた日本IBMでは、既に「社内ホームレス」という深刻な問題が生じていたというから驚きである。
「社内ホームレス」とは、その後の言葉で換言すれば「CC部長」に近い意味で、紙で書類が行き交いしていた時には捺印等で情報が広く行き渡っていたものの、Eメールの出現により情報伝達する価値の無い社員には情報が経由しなくなり、彼らは社内で居場所を失ってしまっていたというのである。
そう考えると、CC部長の方が情報伝達されるだけマシかも知れない。
当時、私は大学生だったが、パソコンというものが途轍もなく大きな社会変革力を持っている、ということに強い衝撃を受けたことを未だに記憶している。

前に書いたSearchでは、サービスは自体と共に変遷していったものの、サービスを実行するアプリケーションは常にブラウザであった。
しかし、Communicationではサービスの変遷と共に、実行するアプリケーション、はてまた機器(ハード)においても広がりを見せたところがSearchとは異なる点である。

PC上でのメーラーは今も健在であるが、Web技術の進歩によってブラウザでもEメールを扱えるようになり、あえて言及するまでも無く携帯電話でもメールは欠かせぬ機能となった。
サービスの移り変わりで見れば、メール、BBS、2chを代表する掲示板、IM(インスタント・メッセンジャー)、そして最近ではBLOG(コメントとTrackBack機能)、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)、と続いてきており、Communicationを目的としたサービスの勢いは全く衰えを見せない。

以上のことからも、パーソナルユーザーにとってのWeb利用目的の二つ目は「Communication」と言えるであろう。

最近、ようやくBLOG、SNSブームも一段落した感じがする。
昨年は「BLOG、BLOG」と、今年に入ってからは「SNS、SNS」とこれら新たなコミュニケーション手段の誕生と影響力について方々でアラートを発してきたが、どうやらこれらコミュニケーション手段の受け入れ方は世代によって大きく二分されるようである。
感覚的には35~40歳位が境目になっているように思う。
当然ながら下の世代には何の違和感も無くすんなりと受け入れられ、上の世代では極めて否定的かもしくは理解されないケースが多い。
否定的になる理由はいくつか想定されるものの、大抵は「既存のコミュニティーに満足している」という点が大きいのではないか。
そのような観点からすると、「木村剛とブロガーのオフサイド取引」にミラクル・リナックスの吉岡さん、インフォテリアの平野さんが自らの意思でヒョッコリ参加されていたのは相当レアなケースだと思う。

これまでのインターネット、ベンチャー業界は特にR社出身の方々が中心となり形成されてきた。
「R社だけ」では決して無いのだが、インターネットが出版・広告といった機能を中心に広まってきた事。ベンチャー立ち上げには新規顧客開拓する営業力が必須であった事。加えて、新たなモノへの興味、執着心、実行力が起業家には必要であった事。これらにより、R社出身の方々が媒介役となり人と人との繋がりが出来ていったように思う。
私も社会に出てから数多くの方と出会ってきたが、気付けばR社出身の方々に行き着くケースが多かった。

思えば私がBLOG、SNSだと説いてまわった相手は、これまでインターネット、ベンチャー業界を創り、支えてきた方々であり、R社OBの方を媒介としたリアルでの人間関係が既に出来上がっている方々であった。
上場企業や一定規模以上の企業の役職者となれば、外からの間口を無闇に広げることはリスクになりかねないため、閉鎖的にならざるを得ない理由も十分考慮する必要がある。
しかし、私は間口を狭めることによって生じるリスクの方が現時点においては大きいと感じてならない。

BLOG、SNSが今後定着するか否かは別として、これら2つは社会に大きな影響をもたらすと感じている。
それは「階層社会の変革」である。
かつて、伊沢紘生氏はサル学においてボスザルの存在、及び順位制による階層社会を否定した(詳しくは、立花隆の「サル学の現在」あたりを参照)。
その彼が発見した野生サルの社会構造に、人間の社会構造が非常に似通ってきているように思う。
簡単に説明すると、それ以前は高崎山などでのサルの観察によって、サル社会は社会全体を覆うピラミッド階層(序列)で成り立っていると思われていた。
しかし、野生のサルの観察によって社会全体を覆うピラミッド構造などなく、その代わりに場面場面で適宜序列が形成されることが判ってきた。
具体的には、餌を取る時のリーダー、喧嘩する時のリーダー、と場面によりリーダーが移り変わる社会構造である。

ネット上でのCommunicationの進化は、これまで階層の中に埋もれていた各分野で能力ある人(価値が高い人)を見出し、その人を中心としたCommunityを自然発生させる潜在能力を秘めていると思う。
また、部分的ではあるものの具体的な事例も現れ始めている。
とりわけビジネス領域ではIT系の技術分野でこの傾向が顕著である(いわゆるGeekと呼ばれる人材)。

個人的には教育的な観点からして上記の変革は大歓迎であるが、果たしてどうなるのか?
いずれにせよ、パーソナルユーザーのCommunication欲求は留まることはないだろう。


過去のエントリー
Web大衆化10周年 - 1
Web大衆化10周年 - 2(Search)

Posted by Ozaking at 2004年07月02日 16:57
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