2004年05月13日

Web大衆化10周年 - 2

1)Search

いみじくもCNETで先日から「検索市場の変化と各社の戦略」と題した連載が開始された(今後、毎週月曜に更新される予定らしい)。
David FiloとJerry YangがYahoo!を設立したのが1995年。
Larry PageとSergey Brinが1998年に設立したGoogleが先月末IPO申請し世界中から絶大な注目を浴びているところを見ると、パーソナルユーザーにとってのWeb利用目的の一つは「Search(検索)」と見て間違いないであろう。

この10年間、私個人が主に利用してきた検索サイトを思い出してみると、「NTT DIRECTORY」、「千里眼」、「Goo」、「Infoseek」、「Google」とサービス形態、利用技術、検索対象、収益モデル、は時代と共に変遷してきているものの、「検索」という行為自体は常にWebを利用する主な目的であり続けており、現在でも全くその重要性は変わっていない。

ここで用いている「Search」とはユーザー視点での「探したい、調べたい、知りたい」という欲求の結果であるので、その対象はいわゆる検索エンジンに限ったものではない。
辞書、翻訳、地図、乗り換え、ニュースはもちろんのこと、商品の口コミという面からは「@cosme」、価格という面では「価格.com」、キャリア(仕事)という面では「リクナビ」、その他、ぐるなび、まぐまぐ、Yahoo!オークション、楽天、Amazon.com、等も含まれる。

Searchにこれだけのサイトが含まれるというのは理解し難いかも知れないので多少補足する。
数年前あれほど勝ち組として各所で紹介された紀伊国屋がイマイチで、一方逆にAmazonがイケテるかというと、それは品揃えの幅広さ、アフィリエイトによる集客力、ワンクリック特許によるUIの巧妙さ、以上に増してレコメンド(協調フィルタリング:collaborative filtering)による予想外の発見、それを裏付けるカスタマーレビューの信頼性があるからだと思う。
少なくとも、私にとっては好奇心を満たす(興味があるかもしれないが、自分だけでは到底知りえない事を教えてくれる)価値を最も提供してくれるのがAmazonである。
Yahoo!オークション、楽天、Amazon.com、はECと分類されるものの、共通して根底にあるのはSearch欲求を十分に満たしてくれるという点ではないか?

Googleはこのところ新サービスを続々と開始している。イメージ検索、News検索、Floogle、書籍検索、Orkut、Gmail、Bloggerの機能向上、ローカルサーチ、そして、極めつけはパーソナライズサーチ。
メディアからの情報を見ているとGoogleの牙城はもはや崩せないかの印象さえ受ける。
しかし、考えてみて欲しい。この10年、私自身も様々なサーチエンジンを利用してきたが、何れもその時代においては「最適」なサービスであり、十分その結果に満足していた。ただし、欲望を満たす新たなサービスが現れた途端、一気にシェアは入れ替わった。Google人気もたかがここ数年のものでしかない。つまり、新たに欲求を満たすサービスが今後現れれば、そのスイッチングは瞬時に行われる筈だ。

次世代はパーソナライズ検索という意見が散見される。AmazonのエンジニアがMSNに引き抜かれていることから考えても、近々このジャンルは熾烈な競争が巻き起こるであろう。
最近、多くのSEOエンジニアから話を伺ったところでは、パーソナライズ検索によってSEOの効果が低下するのは確実と予測しており、共通して今後の業界見通しは非常に悲観的である。

Searchという欲求は大きく2つに分類される。1つ目は、これまで既に知っている事(と、その周縁にある事)の深堀りという欲求。2つ目は全く知らない(関与もしていない)ことを新たに知りたいという欲求。
前者はパーソナライズ検索が進むことで精度は高くなると思われるが、後者に対しては全く影響力がない。今でも、新たなものはネットではなく、人づて、つり革広告、と予想だにしない場所から突如として現れる。

Searchという欲求は今後もWebにおいて重要な意味を持つだろう。しかし、それを十分に満たすサービスが既に世に全て提供されているとは到底考えにくいし、今後その欲望の対象となる物・事も日々変化していく。
そう考えると、Searchの世界はまだまだ発展途上であり、予想だにしないサービスが今後出てきる可能性が高く、ビジネスチャンスも数多い。

10年後のSearchはどの様に変化しているのだろう?
Search-購買、広告、という単純なモデルを超えるビジネスが市場を圧巻していることは間違いない。

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Web大衆化10周年 - 1

Posted by Ozaking at 23:18 | コメント (38) | トラックバック