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2003年12月12日[ Business関連 ]
貧困エンジンの是非を問う本日は、週末前ということで少し真面目なお話。 読売ADリポート:経済の活力をどう確保するか-世界に広がる「貧困エンジン」のメカニズム- ITバブルの崩壊から9.11のテロ、イラク戦争。アメリカ経済はその度に減速したが、これまでのところは深刻な不況に陥ることは避けられてきた。その理由を突き詰めていくと、アメリカ経済が搭載している「貧困エンジン」の存在に行き着く。 日本でも、戦後の復興期から高度成長期にかけては、今の中国と同様の貧困エンジンを使っていた。 太平洋沿岸に連なる工業地帯への集中投資、地方から都市への人口移動、高学歴化といった戦略で急速に貧困を克服したのである。それ自体はきわめて素晴らしいことだが、その結果として、貧困エンジンの燃料は失われてしまった。 日本の場合、アメリカのように移民の受け入れで燃料を補うのは難しい。これは少子高齢化への対策としても議論されはじめているが、既に顕在化している治安の悪化を考えると、相当な覚悟が要るだろう。 今の時点では、日本の取り得る道は二つ。一つは、EUと同様の、周辺諸国の発展を支援しながら彼らの活力を取り込む戦略である。具体的には、貿易や投資、さらには人材の交流も加えたアジア諸国との経済関係の強化だ。ただし、それには農業や基礎的な製造業など、一部産業の空洞化は覚悟しておく必要がある。 もう一つは、貧困や格差なしでも経済のダイナミズムを生み出せる仕組みを構築することだ。個々人の消費需要が飽和した日本でも、街並みの整備やバリアフリー化などの公共ニーズは満たされていない。コミュニティーを主体としてこれらのニーズを顕在化させる枠組みが構築できれば、それは、貧困に代わる日本経済の新たなエンジンとなるだろう。 さ~て、良く考えてみよう。 このテーマはP・F・ドラッガーも危惧している、今後想定される若年人口減少に対する対処法、と繋がるものであり、民主主義、資本主義経済、といった経済システム、はてまた経済思想にまで及ぶものである。 PS:こういう時に限って、「大学で開発経済学の勉強しておけば・・・」と悔やんでしまう。 |