2003年12月01日

IT市場予測に対する怒り

NRI:~2008年までのIT主要分野の市場規模とトレンドを展望(2)~

詳しくは上記を参照していただくとして、
この「IT市場ナビゲーター」、仕事柄よく拝見するけれど、まぁ予測が曖昧だこと曖昧だこと。
推計した際の根拠を教えて欲しいものだ。

IDCのデータもそうだけど、殆ど年率成長率を求めて単純に右肩上がりになっている。

顧客へのコンサルティングで使うには「今後この市場は成長が見込めますから」、なんて言えるから都合がいいんだろうけど、実際これら業界でビジネスを行うプレーヤー関係者からすると本当にいい迷惑。

で、これを見た経営者が「この事業はいける」なんて勘違いするものだから、我々は如何にこれら推計が誤っているかを立証するという、おかしな作業に追われることになる。

例えば、2008年のインターネット広告市場規模2,093億円。この数字の根拠は一体?

電通が出してる「日本の広告費」(ま、これも結構怪しい数字ではある)。これでは2002年度845億円。今年度は1000億円突破は確実と言われている。
広告市場の前提条件として、世界的に見てGDPと広告市場規模は相関関係(驚く無かれ、61カ国対象で相関係数0.98)があり、広告市場全体が拡大するには、経済成長が必須である。
現在、広告市場は約6兆円なので、日本のネット広告市場比率は約1.4%。米国が現在2.5%程度で、2000年のネットバブル期で3%。

上記NRIの2,093億は広告市場比率は3.6%となる。
とした場合、BB化、VOD普及、など市場に影響を与える要因はいくつかあるものの、どの因子の影響で3.6%まで上昇するのかを説明して欲しい。
また、約6兆円という広告市場全体のパイは制約条件(=拡大にはGDP成長が必須)となっている訳だから、他の広告市場のどこからシェアを奪い取るのか?を説明して欲しい。

しかも、上記市場は科学的な根拠=成果を求める傾向にあるので、ネット化が進むと同時にROIを考慮し全体のパイは更に縮小する可能性もあるはずである。
事実、TV業界は映画:踊る大走査線を成功させたフジテレビを除き減収減益だったような。
その一因として「TV広告費の正当性を立証(もしくは事前予測)することが出来ないため」とどこかの証券アナリストも書いていたように思う。

先日の選挙でのマニフェストが今後そうなるように、以前推定した「IT市場ナビゲーター」の数値の差異分析も公表してもらえないものか?

Posted by Ozaking at 15:25 | コメント (38) | トラックバック